日本文化人類学会第59回研究大会ご参加のみなさまへ

本学会では、研究大会をはじめとする本学会主催の学術行事に参加するかたがたが、障害などを抱えていても支障なく対等に情報を享受できる体制づくりを目指して、日々改善に取り組んできています。

その一環として、今回の大会における取り組みについて以下にお知らせするとともに、ご参加のみなさまにもご協力を呼びかけるため、本状を記しています。


日本では、2016年4月に障害者差別解消法が施行され、民間事業者においても障害をもつ人に対する合理的配慮の提供が努力義務とされました。さらに、同法の改正により、2024年4月からは、合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へと強化されました。

このような動向を受けて、本学会でも、障害をもつ会員や参加者が対等に学術行事に参加できる体制を整える努力を続けています。

本学会では、男女共同参画・ダイバーシティ推進委員会がこの取り組みを担当することとしています。毎年度、合理的配慮提供のための予算を計上し、学術大会では具体的な配慮の方法について事前に希望を聞き取るなどした上で、手話通訳の手配や配置、関連する機材の準備、当日のコーディネートなどの準備をしています。2023年度の第57回研究大会以降、毎年の大会で、同様の取り組みを続けています。

一方、本学会における合理的配慮の提供は、執行部や研究大会主催者のみの尽力で達成されるものではなく、会員のみなさまのご理解が大きな鍵となります。

とくに、研究大会主催者が、事前に発表者や参加者に対して依頼する合理的配慮への協力の呼びかけについては、その趣旨をご理解の上、遵守にご協力くださいますようお願い申し上げる次第です。

今大会においても、手話通訳を導入いたします。また、カラーユニバーサルデザインへの配慮も求めています。

例えば、ろう者が出席し、手話通訳者が配置される会場の発表者は、事前に投影スライド資料や発表原稿を提出することが求められます。同時通訳で行われる手話通訳は、きわめて難度が高いため、手話通訳者が事前に内容を理解しておくことで、円滑で正確な同時通訳が実現します。

このほかにも、幾つか配慮をお願いする事柄があります。詳しくは今後に発表されるアクセシビリティガイドラインをご覧ください。

会員、発表者、参加者の協力なしに、望ましい合理的配慮の提供は実現しません。それぞれが、自らの立場で、できることを適切に行うことにより、すべての人に開かれた学術交流の場が成り立ちます。

どうぞご理解とご協力をよろしくお願いします。


2025年3月30日

日本文化人類学会 第31期会長 棚橋訓          男女共同参画・ダイバーシティ委員会